伊東章『マニラ航路のガレオン船』鳥影社

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誰が見ても「謎の書」である。

アマゾンサイトに、
同じ著者の本『南の悪魔フェリッペ二世』について、お二方のレビューがある。

出版社はなぜ、このように読めない文章のまま、分厚い本を、
しかもたくさん、出版したのか。

売れるあてが、どこにあるというのだろう。

売るつもりなら、文章について、やかましく言っているはずなのだが、
読めない文章のまま出版して、一体何の意味があるのだろう。

日本人には説明しなければわからないことがたくさんある、
と、思うはずなのに、

全く何の説明もないまま話が展開するから、何のことかわからず、
ちんぷんかんぷんである。

人名の検索にも苦労した。ビジャロボスがビリャロボスだとわかるのに、
しばらく時間がかかった。

ネット上にある音表記と、本の音表記が違うので、
時代と人物が本物だと特定するのに、時間がかかった。

また、一文一文、読めないのに困った。
しかし、この時代についての貴重な情報が載っているようなのだ。

巻末を見ると、スペイン語か何か、イベリア系言語の歴史書が参考文献らしい。

  この本の情報をくれたのは、「たばこと塩の博物館」の学芸員さんだった。
                *墨田に移転して再開していた「たばこと塩の博物館」

  家康にタバコをくれたスペイン人、という流れの情報だったような気がする。

スペインの探検隊の行動なんて、詳しく書いてある本なんか、
全くなかったので、

海部とスペイン探検隊に、どこかに関係がありはしないか、
そういう目で見ている限り、

これを解読し、あるいは、
他者にこれを理解してもらうしかなかった。

で、わからないものをわかるようにするしかない、
書き直すしかない、と、ガリガリ書き直した。

それでわかったことについて、専門家に問い合わせたら、
私は一般書は見ないので、と、さらりとかわされた方もいた。

しかし、イベリア系言語で原文を読んだって、日本人に理解できる文がないのでは、
日本人には全然理解できないままではないか。

ビリャロボス探検隊に関する報告、エスカランテ報告なら、
基本文献として、岩波文庫なら出してくれそうなもの、

と、岩波に依頼してみたりもしたが、これも全く動きがないままである。

このように、日本語では読めないまま、本を出したい御仁がおられるとしよう。

私は、その人物は、
  「日本人に読もうと思う人がいてくれれば、
  その人がかろうじて読んでくれれば、それでいい」
と思っていたのではないかと思った。

さらさら読めるような本にしてはいけない。しかし、読む人には届けなければならない。
そのギリギリの線で出した本、と、私は感じるのだ。

だから私はかじり付いて書き直したのである。

売れない本を、自ら大金を払って出したのではないか、とも思って、
私も必死?で書き直したのである。